5-1・商業ライターから、裸の自分を出すボランティアライターへ
第5章からは、使命感を育むためのヒントとして、まず、「本当に伝えたいことを書き出す」というレッスンに入っていきます。
あなたには本当に伝えたいこと、発信したいことがすでにイメージできていますか?
それとも、まだどのようなテーマが良いか悩んでいる状態ですか?
「自分の経験が豊富であるテーマ」や「自信を持って伝えられるテーマ」であれば書きやすいように思いますが、実はそれだけでは十分ではありません。
恥ずかしくても、馬鹿にされてもいいから伝えたい。そこまで腹を括れてはじめて、「本当に伝えたいことが固まった」と言えるのだと私は思います。
私の場合、商業ライター兼編集者として、ビジネスシーンでは経営者の方やビジネスリーダーの方向けに幾度となく原稿を書いたり、記事をまとめたりしてきました。
その経験には自信を持っていましたし、得意分野なら悩むこともなく発信ができたかもしれません。
でも、自分が心の底から発信したいことはそのテーマとは別のところにありました。
紆余曲折はありましたが、本当に書きたかったのは、「日々を後悔しないよう、全力を尽くすことの大切さ」でした。
そのことに気づかせてくれたのは、他ならぬ東日本大震災です。
ともすると青臭いと思われかねないテーマです。上辺だけでは伝わりませんから、自分自身が全力を尽くして生きることを心がけました。
自作のチャリティTシャツを着てフルマラソンを走ったり、一人でボランティア活動に参加し、その紀行文を書いたりしました。
反応はさまざまですし、思ったように理解されないこともあります。
でも、本当に伝えたいことを発信している、という実感はありますし、「自分にしかできない発信だ」という自負もあります。
また、活動を通じて、文章テクニックという殻をかぶっていた自分が身をひそめ、素の自分をさらけ出せるようにもなりました。
恥ずかしいこと、情けないこと、そんなことも平気で書けるようになり、発信の幅が広がっていきました。
もしまだ、何が本当に伝えたいことなのか悩んでいる方は、一度裸の自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。
そのときに重要なのは、他人軸でなく、自分軸。人にどう見られるかはまずは脇に置き、「自分が何を伝えたいか」に集中してみてください。
◆使命感を育むための質問1◆
「あなたが本当に伝えたいことは何ですか?」
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